「優先順位」

せいじつ会計

2010年09月29日 06:30




おはようございます。
鏡でございますm(__)m




ある会社で決算対策検討会をしてきました。



この会社は、今期はかなり利益が出ています。
でも、過年度からの繰越欠損金(当期の利益から差し引くことができる赤字)も相当あるので、法人税の納税は均等割りだけです。


また、この会社は、これまた結構な金額の不良債権も抱えておられます。




対外的(金融機関)には、試算表、特に貸借対照表は“時価”により近い数値で表現されていることが望ましいですね。


よって、貸借対照表の「資産の部」を今期回収不能とみなされるものをピックアップし、それらを優先的に経費化することをやります。


もちろん、そのことで、今期の決算では利益も圧縮されるため、注意が必要ですが、この会社のように“不良債権”を多く抱えている会社や、繰越欠損金を多く持っている会社は、それらを先に消しこむ決算の組み方をすることをお勧めします。


この会社も、こんなに沢山の利益を毎年のように出せるという保証はありません。
なので、今期のように利益が出たときがチャンスなのです。




さて、ここで、不良債権処理をすることをなぜ優先しなければならないかというと、特に利害関係者(今回の場合は債権者である金融機関)からすると、自分がお金を貸している会社の財務体質ってとても気になります。重要事項です。
だって、いつ回収不能になるかハラハラドキドキですよね。
なので、貸したお金がどのように使われているかも同様に気になるところです。


今の時点での自己資本がどれくらいあるのか、債務超過になっていないかということは、とても気になるんです。



たとえば、総資本が1億円で、内、帳簿上の自己資本が4千万円だったとします。
この場合、他人資本(負債)は6千万円になります。
自己資本の内、資本金は1千万円とします。



もし不良債権が5千万円あったとした場合、完全にこの不良債権が回収不能になった場合、自己資本の4千万円-不良債権5千万円=△1千万円の債務超過になってしまい、よほど収益力がない限り、自分が貸した債権も回収不能になる可能性が大きくなってしまいます。




不良債権の可能性となるものは、1年以上も回収されない債権です。また、不良在庫、不良資産も同様です。

注意しなければいけないのは、決算書上に表示されている金額は、『簿価』といって取得したときの価額だったりして、実際の価値を反映したものではないからです。
時価ではないということです。
つまり、資産は目減りするのです。


それも、回収に時間がかかればかかるほど、その資産価値は目減りしていくのです。
しかし、上場企業と違い中小企業の決算書では、資産は『簿価』で表示してあるので、『不良化』しても金額はそのままで表示されているのです。



銀行は、そこを見ています。



動きがない資産の部の勘定科目は要注意です。


実際の価値以上に過大に計上されていそうな目ぼしいものは、すでに目をつけられていますよ。
毎期、提出してもらう決算書で動きがあるかどうかを見られています。




動かない→不良化している→現金化できない可能性大→資産価値がない→資産の部から除く→同額の自己資本額をマイナスする→実際の自己資本額がいくらになるか?プラス?マイナス?→マイナスの場合、債務超過、プラスの場合でもあといくらの自己資本額がある?余裕はあるか?このままいったら来期は危ないか?他にも不良資産予備軍はないか?ここ数年の収益力(稼ぐ力)はどうなっているか?






なーんて、いう風に見られているかもしれません。


言っておきますが、『粉飾』は見るものが見ればバレます。


資産を過大に計上していることも立派な『粉飾』になりますので、あまり、税務的な考え方で決算を組むと、会社の信用度を落とす決算書を作ってしまうことになる場合もありますのでご注意ください。




その時々の『優先順位』を間違えないように、しっかり認識していないと、せっかく頑張って作った利益を無駄にしてしまい「機会損失」になってしまうかもしれませんので・・・。



決算書は税務署へ提出するためにあるのではありません。




顧問税理士さんがどのような考え方をされているか、どれだけ税務以外のことを勉強されているか、にもよるかもしれませんね。



顧問料を毎月無駄に支払っておられませんか?





毎月毎月、毎期毎期の捉え方で大きく会社は変わってきますので。




自社の信頼度・安全度をアップさせる積極的な決算の組み方もあるということを知っていただきたいです。







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